食中毒の治療で最初に必要になるのが原因の特定です。いつ・どこで・何を食べたのか、自炊をしている人であればどう調理したのかも看護師は問診の際に確認しておく必要があります。原因菌やウイルスによって潜伏期間が異なるため、直近の飲食で特定物質が確認できなかった場合は、1週間分の食事内容をヒアリングします。
生肉が原因となる腸管出血性大腸菌の潜伏期間は食後12~60時間、加熱不足の鶏肉や鳥刺しによるカンピロバクターは食後2~7日間、生卵やオムレツなどによるサルモネラ菌は6~48時間、刺身や寿司が原因となりやすい腸炎ビブリオは食後4~96時間で発症します。
食中毒は主に生食で発生すると思われがちですが、カレーなど加熱と冷蔵を繰り返すことで増殖するウェルシュ菌、傷のある手で握ったおにぎりや寿司などが原因となる黄色ブドウ球菌などもあります。患者本人が想定できない食材が原因の場合もあるため、看護師は食中毒の要因を把握しておくことがとても重要となるのです。
食中毒の治療は対症療法が基本となり、下痢や嘔吐により不足した水分や電解質を補っていきます。経口補水液の摂取が難しい場合は点滴を行い、嘔吐や下痢には制吐剤、整腸剤を投与します。また、細菌性の食中毒の場合は抗生物質を投与しますが、抗生物質や下痢止めは症状を悪化させる可能性があるため投与には注意しましょう。
嘔吐物や排便に血液が含まれる場合や呼吸がしにくい、頭痛、倦怠、傾眠などの症状がみられる時には迅速な対応が必要になります。