日々患者と接する看護師は、様々な症状や訴えをヒアリングして、素早く情報整理をしなければいけません。なぜなら、場合によっては命の危険が早急に生じる患者もいるからです。
そこで、知っておきたい食中毒の知識があります。食中毒は年間を通じて発生しますが、特に多いのが冬場です。冬は感染力がかなり強いノロウイルスによる中毒が増加する時期でもあります。
厚生労働省発表の食中毒統計調査によると、患者数が圧倒的に多いのがノロウイルス、次いでカンピロバクターやウェルシュ菌などが続きます。食中毒の種類には、細菌性、ウイルス性、寄生虫、化学性、自然毒などに大別されます。そして、細菌性の病因物質はさらに感染型と毒素型に分類され、いずれの場合も食中毒菌が発生した食品を摂取して感染します。菌が増殖するには条件があり、菌の栄養源(食品類など)があること、水分があること、増殖に適切な温度であることが挙げられます。
一方で、ウイルス性のものに関しては、そのほとんどがノロウイルスである場合が少なくありません。注意しておきたいのは、二次感染を通じて爆発的に感染が広がる危険があることです。そのため、この菌だと診断が出たら、家族など患者の身の周りの人への感染予防対策を伝える必要があります。
食中毒の症状の多くは、腹痛や下痢、嘔吐が一般的です。しかし、病因物質によっては呼吸器系や神経系に障害を与えるものもあります。病因物質によっては、一刻も早い処置が必要になる場合があるため、病因物質の特定は、最初に問診をする看護師の重要な仕事と言えるでしょう。